ボーイング737MAXの連続した墜落事故
飛行機を頻繁に利用する者としては、考えるだけでも恐ろしい事故が6ヶ月も経たずに二度繰り返された。
どちらもボーイング社の主力機737MAXによるもので、346人もの命が失われる大惨劇となった。
記憶に新しいかもしれない。
少し調べ返したので思い出してみよう。
2018年10月29日インドネシア
ライオンエア610便
離陸後10分で墜落し、乗客乗員の189人の全員が死亡
2019年3月10日エチオピア
エチオピア航空302便
離陸後6分で墜落 乗客乗員157人全員が死亡
ボーイング737シリーズとは
私もかなりの確率でボーイングに乗ることがある。
きっとあなたもそうかもしれない。
例えばJALが飛ばしている航空機はリースも含めると241機。
(2021年1月現在)
そのうちの184機がボーイング社の飛行機。
つまりJALの旅客機の76%がボーイングの飛行機ということになる。
ちなみにJALでは連続事故を起こした737MAX(8型)と同じシリーズの737-800が最も多く飛んでいて、その数は62機。
ということは、日本航空を利用したすると、約40%の確率でボーイング737(シリーズ)に乗っていたという計算になる。
最多の販売数でギネス記録にも認定された空のカローラ
これはなにもJALが好んで危ない飛行機を選んでいるという訳ではなく、事実上ボーイング737シリーズは「世界で最も多く生産された民間ジェット機」というギネス記録にも認定されている。2018年のことだ。
ボーイング737シリーズは第一世代から第四世代まで続いていて、航空業界で異例の長い歴史を持ち、2018年の時点で1万機以上製造されている。
自動車でいえばトヨタのカローラが「世界で最も生産された普通乗用車」としてギネス記録に載っているので、ボーイング737はある意味で航空業界のカローラと言えるかもしれない。
こんなふうに書くとトヨタ自動車の関係者の方に怒られてしまうかもしれないが、それだけボーイング737は旅客機として世界中を飛ぶメジャーな存在「世界一多く飛んでいる飛行機」といえる。(戦闘機は除きます)
ボーイング737の値段
ちなみにボーイング737シリーズの価格は日本円にして約88~134億円。
JALで最も多く使っているボーイング737-800は106憶円ほどとなる。
つまり、300憶円以上のボーイング777のジャンボ旅客機の半額以下で買うことができる。
25憶ドルの和解金による終結
話を戻して、インドネシアとエチオピアでの事故とボーイング社による情報隠ぺい問題についての決着がついた形となる。
むろん、事故に伴う航空会社・遺族への補償は続いて行くはずだが、アメリカでの連邦航空局へ重要な情報を開示せずに隠ぺいしたことについての企業としての責任は、25憶ドルという金額を支払うことで清算されることになる。
事前にボーイング737MAX(8型機)の安全性を審査していた連邦航空局に、安全性についての情報をありのままに提供していれば、納入や運航には遅れが出ただろうけれど、今回の二度の大事故は未然に防げたかもしれない。
パイロットの操作ミスや整備士達の整備ミスといった人為的な原因によるものではなく、大企業が誠実さではなく利益を最優先したことの結果はあまりにも大きい。
日本企業も教訓を
信頼されている企業や商品であっても完璧はありえない。
むしろ影響を受ける相手に誠実に情報を明かすことが真の勇気であるし、その後の信頼につながるはずだ。
意図的に事実を隠してビジネスを続ける隠ぺい体質は、その場では利益が確保できるように見えるかもしれないが、長期的に見れば必ず大きな損失を生じさせる。
企業の体質とは、そこで重要事項を決定できる権限を持つ人間の意志でもある。
ごく少数の上層部の人間が動かしているのが企業であり組織。
日本の「企業の良心」は大丈夫だろうか。
コロナ禍の中で会社を経営することは非常に厳しいことだとは思うが、目先の利益よりも長い目で見た仕事をしてほしいと願うばかりである。