☑️Distagon28mm F2.8
[仕様]
画角:74°
レンズ構成:7群7枚
最小絞り:22
最短撮影距離:25㎝
フィルター径:55mm
重量:280g
発売価格:57,000円
☑非常に凡庸性の高い超万能レンズ
フィルム時代はこのディスタゴン28mmをプラナー50mmと並んで頻繁に使っていました。
実は購入時に90gのテッサー45mmとかなり真剣に迷っていました。
何しろ今のパンケーキレンズのような薄さと軽さで値段も安かったので…w
それでもディスタゴンにした決め手は、広い風景を撮りたかったことと、手持ちのプラナー50mmの標準画角と比べてテッサーとほとんど変わらないという理由でした…
ちなみにこの3種類のレンズの価格ですが、
プラナー50mm1.7➡︎29,000円
プラナー50mm1.4➡︎44,000円
テッサー45mm2.8➡︎37,000円
ディスタゴン28mm2.8➡︎57,000円
となりまます。
ツァイスには他に35mm1.4というのもありましたが、高すぎるので自分の中の候補には入りませんでしたw
それにしてもテッサーよりディスタゴンを選んで正解でした。
なぜならフィルム時代からデジタル時代になり、マウントアダプターを介してデジ1で撮るようになった時にちょうど標準画角になり、最も使いやすいレンズに大変身(?)したからです。
お若い方々には分からないかもしれません。
昔の人は写真を撮るために写真機に35ミリフィルムやブローニフィルムというものをズレないように慎重に装填し、毎回撮影後にさっき入れたばっかのフィルムをクルクル手巻きで巻き戻して(自動だったりもしますが)、自分で真っ暗な部屋を作って現像するか、お店に現像に出しに行き、数日待って現像されたフィルムとプリントされた写真を受け取りに行っていたのです。それも毎回のように…。
(これは僕が風景によく使ったお気に入りのフィルムです)
でもそこには今のjpgなどの電子データにはないモノとしての形が最初からあった、、、のです。
そんな昔話はさておき、
デジタル化以降は我が家でもディスタゴンは凡庸性の高い高画質標準レンズとして活躍していくことになるのですが…
☑️でも…なんか変?!
意気揚々とマウントアダプターを予約で購入し、キャノンのデジタル一眼に愛するディスタゴンを装着し、ピントを合わせシャッターを切る!
『あれっ?』
この違和感は一体なんでしょうか。
新品のアダプターがおかしいわけでも、カメラが故障しているわけでもないのに、明らかに何かがおかしいのです。
灯台を撮ってみました
☑️昭和と平成の出会い
違和感の原因はすぐに分かりました。
現代のデジタル時代ではカメラは軽量化され、安価になっていました。
例えば今のキャノンのエントリークラスだとボディが400g〜500g台(Kissx7なんて407g!!)で、CONTAXでいうとGシリーズのボディよりぜんぜん軽いのです。
カメラは日進月歩の世界です。
20年前では考えられなかったようなスペックが今や普及機にも標準装備として当たり前のように搭載されるとともに、より軽く便利になりました。
それはありがたいのですが、軽量化の代償としてボディにプラスチックが採用されるようになりました。
今やAF・全自動化したレンズやボディ本体でさえ小指で持てるほど軽々としたものです!!少し大げさですがw
違和感はその反動でした。
それまでのディスタゴンの相棒は中級機とはいえ大部分が金属製の堅牢な167MTで貴重な昭和のカメラだったのですが、母体となるデジタル1眼レフは一部プラスチック製の軽量化された平成生まれ…
その相性を例えていうなら、
軽自動車にF1のエンジンを乗せたような感じ…
カップラーメンに 、手作りのゆで卵をトッピングした感じ…
革靴を履いてジャージを着た感じ…
漁船に大砲を乗せた感じ…
みたいなのです。
つまり、せっかくの優秀な武器を乗せても本体がスカスカなのでどうしてもバランスが悪い。
ということだったのです。
(言うまでもなくこれは性能面の比較ではなくて、重量、質感、操作面等でのことです。今のデジ1もデジタル専用設計のレンズも性能自体は素晴らしいものがあると思います。)
☑️漁船➕大砲で写真を撮るという行為
私はそれまでガンダムみたいなマニュアル機の堅牢なボディにキャノン砲のようなディスタゴンを付けて撮影していたことにあまりにも慣れていたために、デジ一眼にくっつけるとレンズ側の方が明らかに重くなってしまって重量バランスがとても悪いのです。
それも当然で、デジタル一眼レフは基本的にできればユーザーにはそのデジタル時代のレンズを使用してもらいたいという前提で設計されています。その方が新しく買ってもらえてメーカーも助かりますし。以前のAFレンズはもし使えるとしても、画角が変わったり設計が古くてなかなか…。
ただでさえそうなので、20年以上前のしかもメーカーの異なるマニュアルオールドレンズを使用するためにカメラのウェイトバランスを調整するなんてことは思いっきり想定外なのです。
☑️その後は標準レンズとして
さて、風景用の広角レンズからスナップ用の標準レンズとしての新たな使命を帯びて、ディスタゴン28mmは走り(撮り)続けました。
いくらカメラとの相性がややアンバランスでも、出来上がった写真は僕なりに満足のゆくものでした。
単焦点で、しかも画角が変わる代償としてレンズの中心のいいところが使えます。
出来栄えもさることながら、アナログ時代のレンズが今でも通用することが嬉しかったのかもしれません。
いや、個人的な思い入れがあるせいか、むしろ今の下手な最新ズームよりも画質はいいんじゃないかとさえ思っています。
とはいえ、周りに豊富に便利なものがある中でバランスの悪い組み合わせでMFレンズをあえて使い続けることは至難の技ではありません。
私は意志薄弱なのでだんだんと現代版の高性能AFレンズに手が伸びるようになり、ディスタゴンを使うのは時間に余裕があって、かなり気合の入ったスナップを撮りに行く時ぐらいになってしまうのでありました。
ちなみにこのバラは僕が植えましたw
最後まで読んでくださりありがとうございました
d( ̄  ̄)