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ポリフェノールの雑記ブログ🖋

日本の調理師として見たアジアのB級グルメや景色などを楽しくご紹介!趣味の雑記ブログをよろしくお願いしますd( ̄  ̄)

タイ人のソウルフード◆カオマンガイ ข้าวมันไก่◆

タイの名物料理|カオマンガイとの出会い

 

 

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『うまい!なんなんだこの食べ物は…』

第一声がこんな感じで、僕はタイでこのカオマンガイを初めて食べたときの地味〜な衝撃を未だに鮮烈に覚えています。

これほど素朴で奥深い料理は日本料理では他に思い当たりません。

料理名のカオマンガイをタイ語にして分けて書くと、、、

カオข้าว=米

マンมัน=脂

ガイไก่=鶏

というふうになるので《米+脂+鶏=カオマンガイ》という感じです。

その名の通り鶏の脂の旨味がしみ込んだ米を口の中に運ぶと、サラッと溶けるようにほぐれてパクチーの豊かな香りと一緒にタイの大地を連想させるような壮大な味が広がっていきます。

カオマンガイに限らずタイ人は総じて鶏肉の扱いがとても上手だと思います。

実際、多くの家庭で今でも鶏を庭で放し飼いにしているのをよく見るので、伝統的に昔から鶏肉との付き合いが長いからかもしれません。鶏はガラから美味しいラーメンスープを取ったりできることからも分かりますが、イノシン酸とグルタミン酸がバランスよく含まれているので、肉そのものを食することに加えて、調理法によってはとても良い出汁が取れるのです。きっと長い歴史の中で鶏を旨く食べる秘訣が編み出されて、料理人の工夫によって改良が加えられながら伝わってきたのだと思います。

 

このカオマンガイをざっくりと言ってしまえばチキンライスや鶏肉の炊き込みご飯の類で、調理法や盛り付けは極めてシンプルなのに、食べていてまったく飽きがこないのはなぜ?

実を言うと、私はタイに住み始めた最初の頃はほぼ毎朝、近所の定食屋さんでこのカオマンガイを食べていました。

その気になれば歩いて行けるぐらいの距離に、何軒かカオマンガイ屋さんがあり【美味く・安く・早く】食べられるので、すぐに虜になってしまったのです。

もっともタイの食堂(特に田舎の方面)は英語表記や写真付きのメニュー表がない店が多いので、タイデビューすぐの頃はメニューのオーダー方法が分からずに、スマホやガイドブックの写真を見せて注文していたために注文できるものが限られていたこともありますが、毎日食べていても不思議と、違うものが食べたいという気持ちにはならなかったのです。

 

ニワトリの脂が適度にしみ込んだ米の上に茹でたり揚げたりした鶏肉を並べ、タイの代表的な香草のパクチーを飾り、大抵は横に3〜4枚のキュウリが添えてあります。そして食堂によってはこの他に鶏肉と大根とハーブ入りのスープが付きます。

余談ですが、このおまけで付いてくるスープはたいてい本体の味に比例します。

僕はひとさまの作った料理に点数をつけるのはあまり好きではないなのですが、分かりやすく表現するとスープが90点ならカオマンガイも90点ぐらいで、スープが80点ならカオマンガイも80点と言った感じでしょうか。

スープにも料理のカオマンガイにも、その日使う鶏肉の状態や調理前の鶏肉の下ごしらえの手間などがそのまま関係していますからね。きちんと仕込みされていなければすぐに分かるものです。

 

驚くのは味だけではなくその価格で、店によって違いはあるものの、他の多くのメニューと同じくだいたい1皿30~35バーツ(約98~115円)、大盛りでは35~40バーツ(約115~130円)です。仮に日本で同じようなものを頼もうと思えば少なくとも500円前後はするのではないでしょうか。

さて、カオマンガイはそのままでも薄味で十分美味しいのですが、一緒に出される店独自の特性ソースを〈お好みで〉かけて食するとさらに格段に美味しくなります。このソースは基本的には生姜やにんにく、トウガラシや醤油や味噌などを合わせて作るのですが、店によって組み合わせる素材や配合が異なり、このソースの味の違いがさらに味を大きく左右します。まさに秘伝の味!!

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(持ち帰りで頼むとこんな感じでトレーに入れてくれますし、もちろんソースも小袋に入れて付けてくれます)

ソースのかけすぎに注意!! 

ソースを〈お好みで〉と書いたのにはタイ特有の事情があります。

タイは世界的に見てもトウガラシの消費が多い国の一つで、キムチやビビンバの韓国、タコスのメキシコ、そしてなんと激辛カレーで有名なインドなどよりも多く消費しています。もちろんこれらの国にも辛くない料理がありますが、それはタイも同じことで、全く辛みを感じない料理も確かに存在するのです。

それで、タイ料理において食事と一緒に出されたソースや調味料を味見せずに全て投入してしまうと、一瞬にして並の日本人にはとても食べられないような激辛料理に変身してしまい、とんでもない目に遭うことがあるのです。

日本にも辛い料理がウリの店があったり、時折自慢げに辛い料理を食べられることをアピールする人物もいたりしますが、何事も上には上がいるもの。タイをはじめとして本当に辛い料理を食べる長年の食文化の中で生きてきたDNAを脈々と受け継いでいる人々とは比較になりません。もしもタイ人の前で辛さ自慢をするとすれば、それこそまさに井の中の蛙かも…。 

しかしそれでも、タイよりもマレーシアやミャンマー、エチオピアといった国々の方がトウガラシを消費しているようで、極めつけのボスニア・ヘルツェゴビナに至っては韓国の約29倍の消費量とのデータもあるようで、一般人が観光に行っても食べられる料理がはたして存在するのだろうかとつい心配になってしまいます。ただし、こうしたデータの裏にはトウガラシ族の中でも辛くないように品種改良されたパプリカなどの種の存在が関係しているようなので、すべてが辛いわけでもないようですが、それにしてもたいしたものですね。ちなみに私が調べたトウガラシ消費量データでは、日本はランキング入りさえしていませんでした。(・・;)

それはさておきソースの話に戻るとしましょう。このソース、辛いことは辛いのに明らかに日本で出会う同種の辛めソースとは決定的な違いがあります。ちまたのレシピサイトなどでカオマンガイ用の美味しそうなソース(タレ)※がいくつも紹介されていますが、頭の中で再現してみてもどれもピンとこないのです。なにが違うのか…。これについては現段階では調査不足であり、また長くなりそうなので別の機会にしようと思います。

※基本的にソースとは主に西洋料理を食べる時に上からかけるもので、タレは料理をつけながら食べるためのものといったイメージなのですが、ここではカオマンガイに敬意を評してあえて【ソース】と呼びたいと思います。しかし、アジア料理の場合はかけて食べる液状の合わせ調味料もタレと呼ぶこともあるので、そちらの方が正しいのかもしれません。

ソースの例:デミグラスソース、ウスターソース、トマトソース、タルタルソース

タレの例:焼肉のタレ、ギョーザのタレ、味噌ダレ、昼寝しているおじいちゃんのヨダレ(失礼しました💦)

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店選びの注意点をもう一つ

タイにお越しの際には、せっかくですからぜひ美味い店を選んでください

というのは、店によって味が違うからです。

よく、シンプルなものほどごまかしが効かないといいますが、このカオマンガイもごまかしが効きません。

そしてシンプルなタイ料理の代表ともいえるカオマンガイが美味い店はたいてい料理人の腕がよく、真剣に仕事をしているので、それ以外の料理でも美味しいものが食べられます。チェーン店以外の個人経営の食堂であればどこで食べてもさほど大きなハズレには当たりませんが、それでもやはり更に美味い店というのがあります。

ある店は米の炊き方がイマイチで固すぎだったり、別の店はソースがやや物足りなく感じることなどがあるのです。

日本でラーメンを食べるとしても、シンプルな醤油ラーメンを何件かで食べ比べると違いが分かるように、タイでもしばらく滞在して同じものを食べ比べていくとだんだんと味の比べ方を覚え、10件も回る頃には抜群に美味い店とそうでない店の違いが分かるようになってしまいます。

 

そして、その中でも最も美味い店を基準にして『ここはあの店の味に近い』とか、『かなり遠い』といったふうにランク付けをしていくのです。 やがて、『今まで食べた中で最高!』と感じる味に出会うことがあるが、そうすればしめたものでそこがまた新たな基準値となり、それを上回る味を求めての長い長い旅が始まるのですw

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初めての土地でも美味い店を見分ける秘訣を身につける

初めて訪れた土地でそれなりに安くて美味しい店を見分ける秘訣はいろいろあると思いますが、特に海外では言葉もよく分からず苦労することが多いものです。

食堂探しとして例えば、

・タクシーの運転手や近所のおっちゃんに聞く

・グーグルマップの口コミの評価を参考にする

・客の入り具合を観察する

・料理人の手際の良さを見る

こうした具体的な方法がありますが、人によっては理屈抜きの直感が当たるということもあるでしょう。もしそうであればあなたの直感を信じてください。

私もこれまでさんざん失敗を繰り返しながらも会得してきた秘訣が幾つかあるにはあるので、折があればご紹介してみたいと思っています。

今、敢えて一つだけ挙げるとするならば、

▪︎地元のリピーターが多く入っている店を選ぶ

理由は単純で、本当に美味くて安くなければ地元民が頻繁に訪れることはしなくなるからです。

最初は物珍しさや義理で食べにきても、味が悪ければすぐに飽きてしまいます。

また客数だけで言えば観光地や駅前、主要道路沿いの店などは客の入りは多くとも通りすがりの客が大半である場合が多いはずです。また、通勤途中でそこが一番便利ということもあります。そのような場合、味ではなく目を引く派手な看板や立地条件が客寄せとなっているケースもありますが、近隣の住民が歩いて通ってくるような店なら純粋に味目当てと見てまず間違いはないでしょう。

しかし、なのです。

先にも触れたましたがタイの一般的な食堂の場合、旅行者にも分かるようなきちんとしたメニュー表が準備されていないことがあります。

客は、壁にまるで太古の暗号のようなタイ文字でびっしりと書かれたメニューをチラッと見て、おかみさんに食べたいものを口頭でボソボソっと伝えるだけなのです。

いや、もっと言うとメニューを書いてないない屋台さえ普通にたくさんあります。

ただでさえそうなので、地元民が通うようなローカルな店ではなおのこと日本人はオーダーしにくいのです。

したがって慣れるまでは指差し注文ができるように、ガイドブックや写真をあらかじめ準備しておくことを強くお勧めします。

タイ人はいい人が多いので、食べたいものの写真を見せればこの店にあるかないか、なければどこに行けば食べられるかなどライバル店の場所まで親切に教えてくれます。ただ、せっかく親切に教えてくれても、最初は道案内の内容が理解できないのですが…。

 

最後まで読んでくださりありがとうございました

d( ̄  ̄)