気軽な相棒コンタックス167MT
デジタル一眼レフのミラーレスに移り変わろうとし、スマホのカメラでさえ高性能になっている中でも、フィルム時代の古いカメラの人気が衰えない。
そう、昔のものには今の呆れるくらい高機能でモデルチェンジの激しいカメラにはなかった「魅力」が詰まっていたのだ。
今回はそんな超人気モデルのコンタックスの167MT の魅力について迫る。
CONTAX 167MTの仕様データ
製造年 1987年
主な仕様
シャッター:電子式縦走行金属幕フォーカルプレーンシャッター
シャッタースピード:B,16〜1/4000
ファインダー視野率:95%
電源:単4電池4本
重量:620g
167MTの革新的な機能
コンタックス167MTには、今では当たり前となっている素晴らしい機能が世界で初めて搭載されました。
世界初のABCシステム搭載
ABC➡︎おーとまちっく ぶらけちんぐ こんとろぉる
日本語では【自動多段階露出機能】となります
露出を、標準、アンダー、オーバーの三段階で撮れるという、露出にシビアなリバーサルフィルムでの撮影時には特に嬉しかった機能です。
167MTの名前の由来
167MTのTの字はこの明るさを変えて3枚撮れるABCシステムのことをトリプルと呼んで、Tの1文字にして名前に含めたて付けられました。
確かに167MABC…だとちょっと長くて不自然ですもんねw
この、段階露出しながらいっぺんに3枚撮れる機能は今では当たり前のように各メーカーで名前を変えて搭載されていますが、中級機に世界で初めて取り入れたことにはさすが先見の明があると言えるんじゃないでしょうか。
そして、昭和でいうと62年…
当時の私たちは気づいていませんでしたが、そろそろ昭和の時代が終わろうとしていた時にこのカメラは生まれたのです。
フラッグシップとの価格の違い
実は僕、本当は三年後に出たフラッグシップ機のRTSIIIが欲しかったのですが、予算がなくて泣く泣く167MTにしました。
発売当時の価格の違いは
RTSIII=35万円
167MT=9万9千円
なんと3.5倍の違いが…
しかしながら、そもそもカメラが欲しかったというよりは、ツァイスのレンズを使いたかっただけの僕には必要にして十分な機能が付いていましたし、逆に他のモデルと同じくストロボなどの不必要なものは付いていません。
内臓ストロボは写真を下手にする
少なくとも頼りすぎるなら、なのでありますが。
僕は、夜景や流し撮りなどの特別な時以外は露出優先モード以外は使いませんでしたし、ストロボもいりませんでした。結婚式の集合写真なんかのどうしても必要な時はガイドナンバーのでっかい大型のを引っ張り出してきましたし…
むしろいろんな一眼レフカメラに最低スペックのように搭載されているストロボですが、下手に内蔵ストロボなんて付いてない方が写真の腕は上手くなるんじゃないかと思います。内蔵ストロボの悪口は言いたくありませんが、あからさまに人工的な光を真正面からバシャッ!と当てても、いい写真になるはずはありません。
内蔵ストロボはレンズ近くの真上にあります。
(そりゃ横に付けるなんて無理ですがw)
それに内臓ストロボはGN(ガイドナンバー)が12前後で、目の前にしか届かないですよね…
人を撮るとしても光源がレンズから近いほど赤目になりやすいですし、どのみち暗いところで赤目防止をつけるとシャッターチャンスも逃げてしまいます。
むしろF値の明るいレンズを使うなり、フィルム感度(懐かしい言葉です)を上げるなり、三脚を構えるなどして対応したくなります。
カメラに内蔵ストロボのような一見して便利らしきモノが付いてると「仕上がりが暗くなるよりは…」と思って特に初心者の頃はつい頼ってしまうので、僕には付いてない方が良かったのです。
むしろ、そんなものを付けず初心者に媚びなかった当時の京セラに賛辞を送りたいと思います。京セラさんは同時期にストロボ内蔵のAF機(230AF)も作っていますが、ストロボが欲しい人はそっち買えばよかったのです。
僕の場合、今使っているカメラでも内臓ストロボは使ったことがないくらいなんじゃないかと…
それはAFでもデジ1眼でも根っこは同じことで、ストロボを使うなら外部ストロボにしてワイヤレスで撮るとかがいいですよね。
他のCONTAX機よりもレバー操作が取り入れられているモデルでしたが、1/3で設定できる段階露出の数値などはダイヤル操作だったので直感的に操作でき、撮影に集中できました。
フィルム時代が終わった今でもこのダイヤル操作を採用しているカメラもあるんじゃないかと思います。
167MTのしびれるシャッター音
167MTはシャッターの音が特にいいです。
『カシャッ!』
と、心地よい軽めの乾いたイイ金属音がします。
他メーカーだとシャッタースピードが早くても音が重く感じたり、ミラーショックが激しかったりしましたが、CONTAXは違いました。
恐らく重量や堅牢な構造が関係してるのでは…と思っています。
でもSonnar180mmなどの望遠系大きめレンズを付けて撮っているとさすがに重くて腕が痛くなったのを覚えています。
そして京セラのCONTAX事業撤退…
つくづく2005年に撤退してしまったのが残念です。
でも、もしも先に述べた消費者に媚びなかったことが撤退する一因となったとすれば、企業運営としては消費者のニーズに応えてコンセプトで妥協してでも〈作り続ける〉ことも選択肢としてありなのかもしれません。
と言っても、仮にそうした場合には今のようなCONTAXの伝説は存在しなかったかもしれませんが…
いい物作りを続ることと、利益を出し続けることの両立はどの業界でも難しいようです。◆
最後までお読みいただきありがとうございました。
スチルはアマチュアなので情報として不正確なこともあったかもしれません、お気付きのことがありましたらコメント欄よりご教授賜れば幸いです。
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